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服飾文化専攻では、「服飾講座」を配信します。(全8回、5月~7月予定)

専攻の教育・研究に関する生活・服飾、教育等、様々な知識をシリーズでお伝えします。

服飾講座④ 教授学習心理学 「利口な馬ハンス」

 第4回目は「教授学習心理学」研究室の植松が担当します。

 

「利口な馬ハンス」のあらすじ

 「利口な馬ハンス」の話をご存じでしょうか?今から約120年前にドイツで実際に起きた話です。ハンスという名の馬は人間が出す計算問題(例25+13)などに、正解の数だけひづめを床に叩くことができました。この馬が実際に計算しているのかどうか議論が白熱したため、一流の科学者、専門家が集まり、委員会を結成し、調査に乗り出すことになりました。この委員会が行ったことは観察でした。正解が出せるところを何度も観察し、「計算ができる馬」と結論づけました。しかし、この決定に疑いをもった心理学者が、指導する大学院生に詳しく調べるように指示を出しました。

 大学院生はハンスを観察した後、「周りで見ている人が無意識のうちに何らかの合図や答えを送っている」という仮説を立てました。そして、「もしこの仮説が正しければ、周りで見ている人が皆、問題も答えも知らない条件では、ハンスは正解を出せないだろう」と、問題や仮説を具体的に言い換えました。また、実際に実験をして(問題のカードをハンスにだけ見せるなどして)、この仮説の正しさを証明したのです。ハンスは計算していなかったのです。周りで見ている人の表情や動作などのボディランゲージから答え始めるタイミングと叩き終えるタイミングを判断していたのです。これだけでも「何と頭のいい馬なのでしょう」と感嘆してしまいます。

 

この話で大事なこと

①問題(馬はなぜ正解できるのか?)があっても、「なぜだろう、どうしてだろう」と考えるだけでは、答えは出せません。答えの出せない問題は擬似問題であり、本当の問題とは呼べません。

②問題解決するために観察しても、真実が見つかるとは限りません(心を推測できません)。

③問題解決するためには、仮説(仮の答え)を立て、「もしその仮説が正しければ、~の条件では、~の反応が生まれるだろう」と、問題や仮説を具体的に言い換える(翻訳する)ことが重要です。そして、実際に条件操作的な実験を行うことが有効です。

④「仮説を立てる」、「問題や仮説を具体的な実験場面に言い換える(翻訳する)」ことによって、はじめて最初の問題は答えの出せる問題に生まれ変わります。

 

 一般に、科学的な心理学では、「問題→仮説→言い換え(翻訳)→条件操作的な実験→仮説が正しいかどうかを確認する」というサイクルで研究をします。

 それにしても、一流の科学者や専門家が誤った結論を出し、素人の大学院生が条件操作的な実験によって真実を明らかにしたというのは、何とも皮肉のこもった話ですね。

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