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シラバス(公開版)
単位(総授業時間数+自習時間):1(15 + 15) |
対象学科:美表2年 |
授業形態:講義 学期:後期 必・選:選択 |
美術表現学科専攻科目 |
佐 藤 一 郎 |
授業概要 |
●美術特別講義IVは、「素描の心得」講義と簡単な実習授業です。今回は、集中講義期間後期です。 ❶ 《歴代名畫記》を繙き、謝赫の「畫の六法」、すなわち「気韻生動、骨法用筆、応物象形、随類賦彩、経営位置、伝模移写」を取り上げ、西洋画と関連づけ、「素描の心得」を考察する。 ❷ アリストテレスの「見ることの重層構造」と、ヤン・ファン・エイクの「描くことの重層構造」の対応関係を考察する。 ❸ 一点、二点透視図法による、各人の視高と視距離による空間設定をし、床面を作図する。 ❹ その床面に、ある立体物を置き、二点透視図法を用い、鉛筆で水彩紙に描く。 ❺ その立体物の輪郭線を、墨汁と面相筆で輪郭線素描をする。さらに暗部に陰影を付け、肉付け(モデリング)を行い、量感を描出する。その際、立体物に生じる「陰」だけでなく、床面に投影される「影」をも描き込む。 ❻ 地透層(インプリマトゥーラ Imprimatura)という中間調子で画面全体を刷毛塗りする。 ❼ その後、テンペラ絵具で「白色浮出」を行い、明部からの肉付け(モデリング)を行う。 ❽ ③→⑨が組み合わさり「素描」が形づくられる。この「素描」を下敷きに、彩色をほどこす。 |
授業の到達目標 |
学位授与の方針との関連 |
・「論画六法」を通して、「絵画とはなにか」の基礎知識を理解する。 | 1,2,3,4 |
・「見る」を「描く」行為に置換する為の絵画材料とは何かを理解する。 | 1,2,3,4 |
・地透層(インプリマトゥーラ Imprimatura)を行う理由を理解する。 | 1,2,3,4 |
・テンペラ絵具と油絵具との違いとはなにかを理解する。 | 1,2,3,4 |
・比例(Proportion)+遠近法(Perspective)=構図(Composition) | 1,2,3,4 |
・一点透視図法および二点透視図法による「線遠近法」を理解する。 |
1,2,3,4 |
授業計画 |
回 | 内容 | 自習(事前・事後学習の内容) |
1 | 「畫の六法」の「一に気韻生動、二に骨法用筆」の考察。 | 「気」使った熟語を、ノートに描いてみる。 |
2 | 「三に曰く応物象形、四に曰く随類賦彩」の考察。 |
「応物象形」「随類賦彩」に、返点を付ける。 |
3 | 「五に曰く経営位置、六に曰く伝模移写」の考察。 |
「経営位置」「伝模移写」を調べること。 |
4 | アリストテレスの[見る構造]とファン・エイクの[描く構造]。 | 「ものが見える」ための前提条件。 |
5 | 厚紙①:立体物の展開図を、切り抜き、それを組立てる。 | この立体物を、頭の中にイメージする。 |
6 | 厚紙②:床面を設定し、市松模様の文様を作成する。 | 文様の最小単位を設定し、全体を考えてみる。 |
7 | アルシュ紙①-1:透視面を設定、一点透視図法で描く。 | 鑑賞者と画面の視心を一致させる展示方法。 |
8 | アルシュ紙①-2:⑦で設定した床面に立体物を線描する。 | 線描が規範だが、明暗の陰影も描き入れる。 |
9 | アルシュ紙①-3:地透層(インプリマトーラ)を設定する。 | 水彩絵具を均一に塗るにはどうしたらよいか。 |
10 | テンペラ媒剤(メディウム)を製法する。 | 絵具の種類は、媒剤の違いによる。 |
11 | アルシュ紙②-1:⑨の原寸大素描を別の②に転写する。 | 同量の揮発性で希釈した油絵具を塗布。 |
12 | アルシュ紙②-2:下素描を墨描き。褐色で陰影付け。 | 墨汁は、5倍から10倍ほど、水で希釈する。 |
13 | アルシュ紙②-3:画全体に地透層を塗り中間調子を設定。 | 暖色の下素描には、寒色の地透層を塗布する。 |
14 | アルシュ紙②-4:白色浮出して量感を明部から形づくる。 | チューブ記載:透明、半透明、被覆絵具。 |
15 | 批評会:学生が自分の制作物を前にして、批評する。 | 他の学生の作品をもよく観察し、発言する。 |
履修上の注意 |
授業開始以前に、日程と準備物を掲示するので、確認してください。 ■学生の準備物:筆記用具、ノート、水彩道具一式、鋏、カッター、定規(30㎝前後) ■大学の準備物:「アルシュ(300g/㎡ 18㎝× 26㎝」水彩紙各自2枚、方眼厚紙1枚、墨汁、コピー用紙(A4,A3)、大型定規。 |
成績評価方法・基準 |
授業態度、プレゼンテーションを含む平常点50%、アルシュ紙に描いた描画作品(2枚)による提出物50%で評価する。 |
教科書 |
適宜、授業内容のプリント(パワーポイント+参考資料をも含む)を配布。教科書本は以下の通り。●『絵画制作入門』佐藤一郎+東京藝術大学油画技法材料研究室編、2021年第6刷 東京藝術大学出版局 ●『トンプソン教授のテンペラ画の実技』佐藤一郎監訳、2005年初版、第3刷 三好企画 |
参考書 |
参考書として使用できる書籍。●『マックス・デルナー:絵画技術体系』佐藤一郎訳、美術出版社 ●『クルト・ヴェールテ:絵画技術全書』佐藤一郎訳、美術出版社 ●『絵画技術入門』佐藤一郎著、美術出版社 |
備 考 |
「美術特別講義IV」は、12月後半の集中講義期間の二日間午前午後を通して行う。質問は、適宜受け付ける。 |
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