先生×学生 TALK

佐藤 淳一先生

(秋田県/秋田県立湯沢高等学校)
入学するまで美術は未知の世界。今は彫刻の面白さを体感中。
- 学生
- 先生と最初にお会いしたのは、1年生の彫刻の授業ですよね。
- 先生
- それがね、実は私がTさんを認識したのは、作品を通してだったんですよ。非常によくできた作品を見つけて、これは誰が造ったんだろう?と制作者を探してみたら、Tさんだったわけです。
- 学生
- 嬉しいです。自分の拳(こぶし)を石で彫った作品ですよね。
- 先生
- 拳、手というのは、難しいんですよ。普段使っているのに、いざ作品にするとなると、難しい。でもちゃんと観察すれば、その構造を理解できる。そこに気がつけるかどうか。それが彫刻だと私は思います。Tさんの作品はあまりによくできていたので、その前に取り組んでもらっていたデッサンなども見返して、かなりの逸材だと思いました。集中力もあるのでしょうね。弓道をやっていたんだっけ?
- 学生
- 高校では弓道、その前まではバスケットをやっていました。
- 先生
- なるほど。スポーツで培われた体力と集中力が生きているんでしょう。こういう人を「才能がある人」と言うのでしょうね。でもそれは今の段階の話。これからが大事です。芸術は、どんどん深くなっていく、深めていかないといけない。助言を取り入れる素直さも大切ですね。小さい頃から美術・芸術に興味があったんですか?
- 学生
- 絵を描くことは好きだったんですが、仕事にすることは難しいと理解していました。でも、高校3年生で進路を考えた時、社会に出る前に好きなことをやりたい、美術を学んでみたいと思い、受験することにしたんです。最初はグラフィックデザインを深めたいと思っていましたが、彫刻の授業で彫刻の面白さに出会って、今は佐藤淳一先生のもとで彫刻を学べることが楽しいです。
- 先生
- うちの美術学部には研究室という制度はありませんが、“学生の間の師弟”という感じで、学生のみなさんが興味のある分野、その教員からいろいろなことを学んでもらっています。教員、師匠にとって弟子はとても大切な存在。こちらもいろいろ学ばせてもらっています。
- 学生
- こちらこそ、いつもありがとうございます。最近では、丸森町のホテルに置く“猫神様”の石像を彫る、というプロジェクトが印象的でした。参加させていただき、とても勉強になりました。
- 先生
- 彫刻は体験の世界ですから。いろいろな機会を用意して、Tさんに体験してもらいたいと考えています。彫刻を造りながら、計画力、集中力など、心の力を養って、社会で活躍して欲しいですね。
- 学生
- ありがとうございます。美術学部に来るまで美術は未知の世界でしたが、ここには美術未経験者を含めいろいろな人がいて、高め合える点が嬉しいです。これからもよろしくお願いします。